ぎぃぎぃ。 厳しいけれど、でも優しさを宿していた瞳。 確かに以前、そんな目で僕を見ていてくれた瞳は、今や憎悪の冷たい炎を宿し、僕を睥睨している。 ざぶん……。 揺れる小船の中、投げかけられる言葉もまた冷たくて。 どうしてこんなことになったんだろう。 もう大分小さくなった船を眺めるのを止め、膝を抱え込む。 ゆらゆら、ゆらゆら。 小さな波に揺られながら、どこでおかしくなったのかを思う。 ほんの前まで、ガイエン騎士団の一員として、皆と、スノウと一緒に、団長の元で笑っていたのに。 今はその団長殺しの濡れ衣を着せられ、流刑となり、こうして小舟にただ一人、揺られている。 どうしてこんなことになったんだろう。 なんだか泣きたくなってきた。 広い海、こんな小さな舟でただ一人。 ああ、本当に、どうして。 ゆらゆら、ゆらゆら。 同じ事を止め処なく繰り返し思いながら、その時、舟の奥から、物音が聞こえた。 驚きは一瞬、それは喜びに変わる。 照れた様に微笑む二人を見て。 やっぱり泣きたくなりながら。 この旅立ちは、そんなに悪いものではないのかもしれないと思った。 |