「シュウユウはね、皆の太陽なのよ」 そう言って、ナナミは笑った。 「じゃあ僕の太陽はナナミかな?」 そう言うと、ナナミはさらに笑った。 ナナミの笑顔が嬉しくて、僕も笑った。 広い部屋の中で、二人、ただただ笑っていた。 その内なんで笑っているのか分からなくて、それが可笑しくてまた笑って、太陽は笑ってなきゃね、とか適当な事を言ってまた笑って。笑って、笑って、笑って。 ああ、なのに。 僕の太陽は消えた。 最期に、とても他愛のないお願いをされて。 僕の太陽は消えた。 刹那、それまでの僕の世界が壊れて。 一瞬、何がなんだか分からなくなり。 その時、確かに僕は狂っていて。 だけど次の瞬間には正常に思考が機能しだす。 僅かに開いた口。 眉根をよせ、閉ざされた瞳。 なのにそれが笑っているようで。 やっぱり、太陽は笑っているんだね。 そう思った。 そして今。 遺体も見せてもらえぬまま、だけどしめやかに厳粛に、葬儀が終わり。 僕は笑っている。 だって、僕は皆の太陽だから。 僕を照らす絶対の光はなくなってしまったけれど。 戦争なんだから、こんなのは僕だけじゃない。 泣くのは簡単だけど、それは必要ない。 軍主に必要なのは、どんな時も挫けぬ強靭な心身。 口を開いて。 目を細めて。 さあ笑おう。 僕は、輝く皆の太陽なんだから。 |