002.涙





 
 「やあルック、元気?」
 「相変らず無駄に棘のある空気だね」
 「去れ人工災害発生器」
 「歩く竜巻が何をいいます」
 「ところでルック」
 「な、軽々しく触るなっていつもいっているだろ」
 「今だ、タクト!」
 「ふふ」
 「た、玉ねぎ……!?」
 「それだけじゃないよ」
 「かなおろし……? まさか」
 「ふふふ。泣いてもらいますよ、ルック」
 「ばっばっかじゃないのっ?」
 「ふふふ」
 「さあ容赦なく玉ねぎの雨を降らせるんだタクト!」
 「勿論」
 「馬鹿放しな……ぐ!?」
 「転移されちゃ台無しだからね。口塞がれちゃ……イタ!? 咬んでる!? 獣、ケモノがいます!! タクトさん早く!」
 「了解。そぉれ」
 「……!」
 「かもぉん!」
 「ふふふふふふふ。……凄い匂いだね」
 「……」
 「うわっ」
 「あ、お馬鹿!」
 「ぷはっ! ……切り裂き!」
 「げっ」
 「危ないっ」
 「…………優しさの滴」
 「ああ、くそ!」
 「何やってるんですかシュウユウ!」
 「本当に何したいわけあんた達」
 「あーあ。ルック。目を閉じるのは卑怯ですよ」
 「何がさ」
 「そうだよ! おかげで結局僕が泣いてるじゃん! うう、しみる……」
 「君は目を閉じてなきゃ駄目でしょう」
 「だってそしたらルック見えないじゃん!」
 「……阿呆」
 「今回は反論の余地がないですね」
 「ううう……」
 「ああもう……優しさの流れ」
 「おーさんきゅー。つか流れ?」
 「流水だよ僕は」
 「……で、何だったのさ」
 「……ああ、それは……」
 「ズルイから」
 「は? 意味分かんないんだけど」
 「だってルック、僕が泣いた所も、話によるとタクトの泣き顔だって見たことあるっていうじゃん」
 「……まあね」
 「だから、僕らがルックの泣き顔を見てないのは不公平だって話になって。ねえ?」
 「そういうことですね」
 「で、殴ったり労働させたぐらいじゃ泣かないだろうから」
 「これはもう玉ねぎしかないと」
 「そうそう」
 「見事に失敗したけどね」
 「……付き合ってらんないね……」
 「あ」
 「行っちゃったか」
 「……次の作戦は?」
 「……お風呂に入って洗顔用の桶に混ぜちゃうとかは……」
 「問題は匂いだね」
 「シャンプーとかを無闇に振りまいて……は、余計に目立ちますか」
 「頑張ろう!」
 「そうですね」

 懲りない二人。
  











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