「……カイル……」 「何? 珍しいね、君から声をかけてくれるなんて」 「何でだ……?」 「? テッド?」 「お前が、戦う理由はなんなんだ?」 「……」 「俺と同じ様に、お前もまた呪われているのに、なんで……」 「テッド」 「……」 「……それは」 「いや、いい」 「テッド?」 「……気にしないでくれ。 ……じゃあな」 「おかえり」 「……何を、しているんだカイル……」 「日向ぼっこ」 「ここは船室だ」 「冗談だよ」 「ついでにいうと俺の部屋だ」 「うん。だから、お帰りなさい」 「とりあえずベットから降りろ」 「それ」 「……何が?」 「テーブルの上の紙袋」 「……なんなんだよ……おい、これ」 「おまんじゅう」 「見れば分かる」 「それ」 「だから何が」 「さっきの答え」 「さっきのって……」 「そう。戦う理由。好きなんだ。おまんじゅう」 「意味が、分からない」 「おまんじゅうが好きで、ずっとそれを食べていたい。でもって美味しいからみんなに食べてもらいたい。それで皆で美味しいねって笑いたいんだ。ずっと」 「……」 「でも、今はそんなことしてる場合じゃないでしょ? だから、そんな世界を作りたいんだ」 「……そんな、理由で」 「これが全部じゃないよ。でも、これも大事な理由の一つ」 「……」 「とって」 「……ほら」 「はい、お一つどうぞ」 「……」 「遠慮しないでいいよ。いっぱいあるって分かったでしょ?」 「……ああ」 「美味しいよね」 「……ああ」 「良かった」 「……」 「テッドの理由は?」 「……ん?」 「戦う理由」 「…………借りがあるからな……」 「それだけ?」 「……他に何があるっていうんだ……」 「何かはあると思うよ」 「……知った事をいうな」 「ごめん」 「……」 「美味しいね」 「……まあな」 「じゃあ、そろそろ姿見せないと探されちゃうから、行くね」 「行け」 「うん」 「……おい、まんじゅうを忘れているぞ……」 「忘れてないよ」 「そこの紙袋はなんだ」 「テッドにプレゼント」 「はあ!? まだ10個近くあるだろ!?」 「美味しいよ」 「いらん!」 「じゃあ、またね」 「おい! …………本当に置いていきやがった」 「あ、テッド」 「うわっ。あ、ああ、取りに戻ったのか。ほら」 「プレゼントだって。それより」 「?」 「理由。気づいたら教えてね」 「……おい」 「うん、ごめん。じゃあね」 |