「ねーねー。好きな人っているー?」 「どんな意味で?」 「いない」 「ん? そりゃ男三人集まったららぶっしょ。つかルック即答すんな。むしろあやしい」 「そうですか、では、僕もいませんね」 「……はぁ……」 「無視すんなコラ。あ、でも、カスミさんは?」 「無粋だね君は……だから、いないって」 「えー勿体無い」 「シュウユウ、君だってモテるでしょう」 「えー。でもー」 「……馬鹿馬鹿しい。僕は帰るよ」 「ルック、付き合いが悪いですよ」 「そうそう、あ、そういえばこの間告られてたよね。あの子、だれ?」 「え、嘘でしょう」 「……」 「いやマジ。勇気あるよね。ルックにだよルックに」 「それはそれは。で、なんて答えたんです?」 「……」 「なんだよ、勿体ぶんなって」 「……別に」 「別にはないでしょう、別には」 「そうそう」 「……あんた達だって、しょっちゅう誰かに告白されているだろう。自分たちはどうなんだよ」 「丁重にお断りしてますよ」 「うん、ごめんなさいって」 「……僕もそんな感じだよ」 「へえ」 「ルックが、ごめんなさい……うわ見てみたい」 「……本当にあんたは悪趣味だね」 「うわ失礼」 「そうだろう。僕はともかく、その相手は?」 「……あー」 「おや、ルックにしては人情派」 「馬鹿じゃないの」 「んー。でもまあ、三人共好きな人いないのかー。つっまんねー」 「あんたは本当に馬鹿だよね」 「なんだとコラ」 「……まあまあ。でもまあなんだか寒い話題に変わりはないし、別の話でも」 「……じゃあ好きな食べ物」 「シチュー」 「……」 「オムライスだそうですよ」 「……タクト」 「僕は、美味しければなんでも」 「……」 「あーなんだよその顔」 「ふふふ」 「……やれやれ」 笑う少年達。一人は心から。一人は少しの悲しみを伴って。 彼らに共通するのは老いない体。呪われた紋章。 本当に、馬鹿なことを聞く少年だと、笑わない少年は思った。 |