43,胡散臭い






 「黒鷹はどうしてそんな胡散臭い格好でいるんだ?」
 「おや酷い。この私のどこが胡散臭いというんだい?」
 「むしろそうじゃないところがあるか知りたいよ」
 「そんな。ん? はっはっは。そうか。さては、私のオシャレぶりに嫉妬しているんだね? 大丈夫、君たちもなかなかのものだよ。特にこくろの鈴はとってもいいと思うよ私は」
 「これはお前が無理やりつけたんだろ。歩くたびにちりんちりん鳴って鬱陶しいんだけど」
 「ていうかうらやましくないよそんな変な格好」
 「胡散臭いとか変とか。失礼な子供だな君は」
 「実際胡散臭いでしょう」
 「あ、白梟」
 「あなたまで。でも、あなたのその格好も充分周りから目立っていると思うんだが……」
 「っ! これは、主が私の為に用意していただいた服です! 愚弄することは許しませんよ!」
 「うん、だろうねえ」
 「?」
 「ところであなたは、私が作られた時、裸だったと思うかい?」
 「――っ!? ま、まさか……」
 「え、なに?」
 「だから、黒鷹の服も、その主っていうのが用意してくれたってことだろ」
 「おっ、賢いなあこくろは。ちびっことは大違いだ」
 「う、うるさいバカトリ!」
 「ははははは。で、どうかな。胡散臭いかい? この格好は」
 「……なかなか、貴方に合った良い服ではないですか」
 「ありがとう! いやあ、あなたに褒められるなんて久しぶりだなあ」
 「いえ……私は、ちょっと出掛けてきます……」
 「あ、おれもー」
 「ああ、いってらっしゃい」
 「……」
 「ん? どうしたこくろ。君は行かないのかい?」
 「……なあ」
 「なんだい?」
 「その服が、最初に着ていた服なのか?」
 「はははははははははー。本当にこくろは賢いなー。その答えは秘密だ! じゃあ、追求されないうちに私が出掛けてくるよ! はははははー」
 「…………………………やっぱり、胡散臭いやつ……」
 




  *花帰葬部屋へ*