貴方はとても繊細な子。 冷たく凍える貴方の殻。 そっと優しく叩く人の手を払いのけ。 ただ一人孤独に打ち震えながら灰の中。 だだ一人世界の果てを見つめ続け。 呪われた身体を憎みながらそれでも希望を抱きしめ。 未来に怯えながら愛を捨てきれず。 貴方はとても優しい子。 冷たく鋭い殻で触れる人が怪我をしないよう。 そっと心を消して距離をおく。 ただ一人周囲に交わらぬよう。 ただ一人夜毎に魘され続け。 呪われた運命とうつろいながら夢見続ける。 未来に嘆きながらそれでも光があるようにと。 とても悲しく、愚かな子。 開かれたその目にどうして映らないのでしょう。 その手を、髪を、肌を、口を、足を、瞳を。 所詮は歪んだ複製品と蔑んで。 そう結論付ける心でさえも。 所詮は紛い物と打ち捨てる。 とても愛しい、可愛い子。 開かれた道がどうして見えぬのでしょう。 その手に未来は既にあるというのに。 所詮は仮初でしかないと被りふり。 そう呟いてその手を放す。 所詮この身には元より何もないのだと。 私は貴方の為に祈りましょう。 とうに翼が生え、雛ではなくなった貴方が。 いつかそのことに気づく事を。 羽ばたきを忘れた翼。 羽ばたけることを知らぬ翼。 いつか、貴方の焦がれる太陽の下、自由に羽ばたく事を。 私だけは、貴方の為に祈りましょう。 |